不溶化剤カテナチオ
製品概要
製品名/ 不溶化剤カテナチオ
不溶化剤カテナチオは優れた性能をもつ無機系不溶化剤です。
本製品を汚染土壌、焼却灰などの汚染メディアに混合することで、重金属類の溶出を抑制できます。
図1 不溶化剤カテナチオの写真例
用途
・環境基準を超える汚染土壌、灰の不溶化処理
・特別管理廃棄物レベルの高濃度汚染土壌・焼却灰等の溶出抑制処理
特徴
水銀、重金属類、ヒ素、セレン等の処理への対応など他の製品では処理が難しい汚染土、焼却灰を経済的に処理可能です。
高濃度汚染土、焼却灰の溶出抑制処理にも対応できます。
製品仕様
異なるタイプの不溶化剤製品を保有しており、土壌汚染対策法第2種特定有害物質の全てに対応できます。
<製品ラインナップ>
①カテナチオN/ヒ素処理用不溶化剤
主成分:CaO, Fe2O3, SiO2, Al2O3
②カテナチオC/水銀、鉛、亜鉛、カドミウム等
重金属、セレン処理用不溶化剤
主成分: SiO2, Al2O3, Fe2O3, SO3
③カテナチオB/ホウ素、石炭灰処理用不溶化剤
主成分: CaO, Al2O3
④カテナチオF/フッ素処理用不溶化剤
主成分: CaO, Al2O3
製品の形態/粉体
梱包/20kg袋、1000Lフレキシブルコンテナ等
有害物質の処理メカニズム
①ヒ素の処理
水酸化鉄による共沈作用、吸着作用により固定されます。
水酸化鉄を用いたヒ素の処理は非常に効率が良く、水処理では一般的に使用されている方法です。
カテナチオNは、この処理原理を用いて、高濃度のヒ素汚染土を経済的に処理することが可能となります。
Fe(OH)3 + H3AsO4 → Fe(OH)3・H3AsO4↓
②重金属等の処理
パイライト(天然鉱物、二硫化鉄 FeS2)表面に硫化物として吸着固定されます。
天然鉱物であるパイライトは硫化剤であり、この不溶化処理は硫化物法となります。
この処理方法は水銀など種々の重金属類の処理に適用できます。
本不溶化剤は無機物で構成されるため、汚染土処理後の分解リスクも低く、長期間効果を維持することができる特徴をもっています。
Hg2++S2-→ HgS↓
③セレンの処理
セレン酸(6価セレン)は鉄により還元され、パイライト、水酸化鉄に吸着固定されます。
SeO42- + Fe + 2H+ → FeSeO3↓+ H2O
④フッ素、ホウ素の処理
エトリンガイトに化学的に吸着、固定されます。
エトリンガイト化学式 : 3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O
各有害物質の代表的な処理例
高濃度のヒ素汚染土、水銀汚染土、セレン汚染等の不溶化処理、石炭灰の多元素不溶化処理など、カテナチオを使用すれば安価に実施することができます。
カテナチオは高濃度汚染処理に効果が高いことから、特別管理廃棄物の溶出防止処理でも使用されています。
表1 カテナチオによる各種汚染土等の処理例
ケース | 汚染情報 | 不溶化剤添加 | 溶出量[mg/L] | |
1 |
ヒ素汚染土、含有量 As: 3,000mg/kg(中国工場用地) |
カテナチオN 3重量% |
未処理 |
As: 31.3 |
処理後 |
As < 0.1 |
|||
2 | 水銀汚染土、含有量 Hg: 100-250mg/kg、(工場用地) |
カテナチオC 3重量% |
未処理 |
Hg : 0.1- 0.4 |
処理後 |
Hg < 0.0005 |
|||
3 |
鉛汚染土、含有量 Pb: 200-300mg/kg(工場用地) |
カテナチオC 2重量% |
未処理 |
Pb: 0.5 |
処理後 |
Pb< 0.001 |
|||
4 |
セレン汚染土、含有量 Se: 5-10mg/kg(工場用地) |
カテナチオC 2重量% |
未処理 |
Se: 0.63 |
処理後 |
Se< 0.01 |
|||
5 |
石炭灰 組成/SiO2: 62.4%,Al2O3: 14.2%,CaO: 4.3% Fe2O3: 12.2% etc |
セメント20重量% + カテナチオC 1.5重量% |
未処理 |
B: 13.6,F: 3.8, T-Cr: 0.21, T-Se: 0.091, T-Hg: 0.09 |
処理後 |
B: 0.13、F: 0.21、T-Cr : 0.01、T-Se : 0.005、T-Hg : <0.0005 |
不溶化剤カテナチオの長期安定性の評価例は、メニュー「長期安定定性評価」ページに記載されています。
ワンポイント
ケース1
中国で実際処理した汚染土の例です。
含有量3g As/kg (すごい濃度の汚染です)の汚染土の溶出量を大きく低減することができました。
ケース2
国内の工場用地汚染土の実際の処理例です。
水銀のほかに、重金属が含まれる複合汚染土でした。
カテナチオCは、これまで約3万m3の水銀・重金属汚染土処理の実績があります。
水銀は水酸化物とならないので、処理は難しい物質です。
環境省に認めている水銀の処理法は硫化処理法です。
カテナチオCは天然鉱物「パイライト」を用いた硫化物処理となります。
ケース4
非常に処理が難しいセレンの処理です。
未処理土壌の溶出量は第2溶出量の20倍以上です。
ケース5
石炭灰の5種有害物質の同時不溶化処理の例です。
経済性を考慮して、セメントと組み合わせて使用しています。
納入実績
本製品は、公共事業においてはヒ素、フッ素、鉛、ホウ素汚染土等の処理実績があります。
民間事業では水銀など重金属汚染土、焼却灰等の処理実績多数。
中国での納入実績も有ります。
不溶化剤カテナチオは弊社の製品では最も歴史が長い製品です。
水銀汚染土処理、高濃度汚染土処理に高いパフォーマンスを示します。
図2 東日本大震災 災害廃棄物処理不溶化剤の供給 (2013年)