ホウ素用水処理剤

製品概要

製品名/水処理剤カテナチオaquaB

カテナチオaquaBはホウ素を効率よく処理することができる凝集沈殿タイプの水処理剤です。

この水処理剤は早稲田大学、株式会社AZMECが共同開発した製品で、国内外における採用実績が増加してきています。

本技術は経済産業省「平成 23 年度 排水処理技術検討会」において採り上げられました。

 

用途

本製品はホウ素用の水処理剤として使用します。

フッ素、ヒ素等はホウ素と同時処理することが可能です。

本製品は下記産業分野の排水処理に使用することができます。

 

 適用産業分野/

 窯業、ガラス製品製造業、メッキ業、金属再生業、産業廃棄物処分場、石炭火力発電所等

 

特徴

カテナチオ aquaBは高いホウ素処理性能を保有し、経済的な水処理が可能となります。

排水中の塩化物イオン、硫酸イオン等の共存物質の阻害を受けにくく、ホウ素処理性能を保持します。

実排水の処理においてはこの特性は有効となり、多くの工場排水において経済的な処理を実現することができます。

カテナチオ aquaBは、ホウ素と共にフッ素、ヒ素などの有害イオンの吸着性選択性が高く、これらを同一工程で処理することができます。

 

処理メカニズム

カテナチオaquaBによる処理メカニズムは、水中で形成されたエトリンガイトによるホウ素の化学吸着によるものです。

 

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図1 エトリンガイトの構造

http://cnx.org/content/m16447/latest/ から転載

 

製品仕様

主成分:CaO、Al2O3

カテナチオaquaBはA剤、B剤の2種の粉末薬剤から構成されています。

 A剤:アルミニウムが主成分  水溶性薬剤、嵩密度1.0

 B剤:カルシウム化合物が主成分 不溶性の粉体、嵩密度0.7

 

性能

 

カテナチオaquaBのホウ素吸着等温線を図2に示します。

本製品は、他の吸着剤製品に比べて高い吸着性能をもっています。

 

 

 

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図2 カテナチオaquaBによるホウ素吸着等温線図 

 

カテナチオaquaBのホウ素選択性

2種の試験を実施してカテナチオaquaBの優れたホウ素選択性を検証しました

 

(1) 試験1

塩化物イオンを含有する模擬排水を用いて、従来法、カテナチオaquaBによるホウ素水処理効果の比較試験をった。

<試験方法>

ホウ酸、塩酸、水酸化ナトリウムを精製水に添加して、ホウ素濃度100mg/L、pH=7.0、塩化物イオン濃度0~10,000mg/Lの模擬排水を調整した。この模擬排水に、各水処理剤を重量割合で1.0~2.0 %添加し30分攪拌を行った。静置30分後、採取した上澄液のホウ素濃度をICP-AESを用いて測定した。  

<試験結果>

試験結果をまとめると下記のとおりです。

カテナチオaquaBは塩化物イオンの阻害を受けない、優れた特性をもっています。

・従来法はカテナチオaquaBより、ホウ素吸着効率が低い。

・従来法では、塩化物イオンの増加とともに、処理効率が低下する。塩化物イオン濃度が10,000mg/Lとなると、効率低下が著しい。

・カテナチオaquaBの処理では、塩化物イオン濃度が、10,000mg/Lとなっても処理効率は低下しない。

 

 

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図3 共存イオンの影響評価例:塩化物イオン

 

(2)試験2

カテナチオaquaBの各種イオンの選択性について評価を実施した。

<試験方法>

1 mol/Lのホウ素、フッ素、セレン(Ⅳ)、ヒ素(Ⅴ)が共存するpH=7の模擬液にaquaBを10 g/L添加。撹拌時間30分間の水処理試験を行い、処理後の各元素の濃度を測定した。  

分配係数K[ml/g]:  ( C 0 - C )× V /( C × m )

 C 0 : 初期濃度 、C: 処理後濃度、V: 試験液体積 [ml]、m:水処理剤重量[g]

 

 

<試験結果>

図4にはカテナチオaquaBのイオン選択性に関する図を示した。ホウ素の分配係数は2x10 [ml/g]と、比較的高い値を示す。また、ヒ素、フッ素などの選択性も高い結果となった。

 

 

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図4 各種イオンの分配毛数 

 

 

カテナチオaquaBによる水処理例

①窯業排水の処理例

・原水特性/pH=10.5、ホウ素:132mg/L、

  フッ素濃度:96mg・カテナチオaquaB による処理  

  添加量1.4w/w%、処理時間40分

    処理後の特性:ホウ素:0.3mg/L、フッ素:2.1mg/L

 

 

②リサイクル工場排水の処理例

・原水特性/pH=6.0、ホウ素:15.1mg/L

・カテナチオaquaB による処理 / 

  添加量0.2w/w%、処理時間40分

    処理後の特性:ホウ素濃度:4.7mg/L

 

③ホウ素吸着樹脂再生液の処理例

・原水特性/pH=7.3、ホウ素濃度:620mg/L、塩化物イオン濃度:10,000mg/L

・カテナチオaquaB による処理 / 

    添加量4.5w/w%、凝集分離処理時間30分

    処理後の特性:ホウ素濃度:13mg/L

 

2014_animal_use_01_ss_r19_c25.pngワンポイント

①窯業の釉薬排水では、比較的高いホウ素、フッ素が含まれることがあります。

水処理剤カテナチオaquaBでは、一つの工程でホウ素、フッ素の同時処理が可能です。

③塩化物イオン濃度が1%と高い、ホウ素排水処理例です。

塩化物イオンによる阻害の影響が小さくカテナチオaquaBは経済的にホウ素排水を処理することができます。

 

使用方法

凝集反応槽にカテナチオaquaBのA剤、B剤を投入した後、30分撹拌後、20分程度静置し沈降分離します。

上澄み液を中和した後、放流します。汚泥は脱水後産廃処分を行います。

水処理プラントではA剤は液体としてポンプ注入、B剤は粉体供給装置を通じて反応槽に導入されます。

 

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 図5 カテナチオaquaBによるホウ素水処理システム

 

納入実績

 本製品は、経済的なホウ素水処理剤として納入実績が増加しています。

現在、中国、台湾の日系企業工場にも製品供給を行っています。

ホウ素水処理は、ホウ素の吸着選択性が低いため、処理が難しく、他の有害物質に比較して水処理コストは高くなりがちです。

しかしながら、アジア地域も含めてホウ素の排水にはますます規制が強くなってきています(中国、台湾では日本より規制値が厳しい)。

本技術は、初期設備投資コスト、ランニングコストの両面において、最も経済的なホウ素処理法の一つです。

 

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図 カテナチオaquaBを導入頂いた設備の写真例

更新 20200701